カンボジア国コンポンレーン郡ヘルスセンター業務環境改善支援
対象地域
カンボジア:コンポンチュナン州コンポンレーン郡
背景
カンボジア中部に位置するコンポンレーン郡は、コンポンチュナン州にある8郡のうちの1つで、5つのヘルスセンターを有する。ヘルスセンターの役割は、主に妊産婦検診や分娩、予防接種サービス等であり、高度医療への対応は州都コンポンチュナンの州病院に搬送して対応している。しかし、コンポンレーン郡から州都へのアクセスは、距離的には決して遠くないものの、途中に存在するトンレサップ川に隔てられ、陸の孤島となっている。
特に緊急を要する妊産婦の搬送に関しては、車両を運べる「はしけ」が不定期(乗客や車両が一杯になるまで出港しない)なため、緊急時には全く使用できず小舟をチャーターする必要があるが、夜間や天候不良時、渡河料の工面等で1〜3時間も時間を要する場合がある。このため、実施団体は2024年より、妊婦自身が異常を正しく察知し、いち早い受診ができるよう、ヘルスセンターの助産師の保健指導能力強化のための勉強会や指導、また新生児仮死の際の蘇生法の実践、安心・安全な出産ができる環境の整備を目標に、コンポンレーン郡のヘルスセンターに医療技術支援及び機材供与、施設整備支援を実施している。しかし、その中で、5つのセンターのうちのひとつ「スヴァイルンピア・ヘルスセンター」から新たな2つの問題について相談があった。
同ヘルスセンターによると、@ヘルスセンター内で使用する業務用水確保のため、敷地内に井戸を設置したものの、井戸水が赤色に変色し、また大量の赤色固形物が発生してタンク内等に付着するため、業務用水として使用できない状態である。当団体の支援により医療体制が改善されたにも関わらず、手洗い、医療器具の洗浄、スタッフや患者の生活用水としてきれいな水が確保できないため、結果として医療業務に支障をきたしている。A土地が低く、雨季にはヘルスセンター周辺及び敷地内が水浸しとなり、住民のアクセス及びヘルスセンターでの医療活動に支障をきたしている状態、とのことである。
実施団体はこの課題を検討した結果、@の業務用水井戸水の変色について対策を支援することとした(Aの雨季浸水対策については、ヘルスセンターで対応予定)。
以上の経緯から、本事業では@の業務用水井戸水の変色を中心に対策を支援する。
事業内容
1. 井戸水変色・析出の原因調査
2. 対策方法の選定と対策実施可能な現地業者の選定
3. 対策方法の実施とモニタリング
4. ヒ素汚染調査
5. 敷地内浸水の改善のための盛り土側溝整備