子どもの発育阻害を減らすための保健センター基盤整備
対象地域
ラオス:カムアン県ボラパー郡、ナーカーイ郡
背景
本事業の対象地・カムアン県ボラパー郡・ナーカーイ郡は、県庁所在地(ターケーク郡、都市部)から最も離れており、一部の保健センターから中心部までは車両で5時間以上かかる(両郡の保健センターは23か所)。それだけでなく、船や二輪車以外では到達できない、極めてアクセスが難しい保健センターもある。そのため、物資の配布や機材交換にかかる対応が遅れがちで、移動や搬送に関しても大きな予算が必要となることから優先順位が下がりやすく、予算不足に苦しむ政府の努力のみでは保健センターに医療機関として必要な設備投資を行うことが難しい。
実施団体は、ボラパー郡・ナーカーイ郡の遠隔地域の保健センターまで足を運び、独自に調査を行った(2024年10月)。その結果、いくつかの保健センターには、乳幼児の栄養状態を確認するための基本機材である「身長計」「体重計」が壊れていたり、正確な測定ができない不適切な機材を利用している実態を把握した。不適切な機材で測定された不正確なデータでは、地域の栄養不良リスクについて正しく評価できないだけでなく、保健医療従事者は根拠を持って住民と対話することができなくなる。そのため、適切な身体計測機材を配備し、保健センターが適切な保健医療サービスを提供できるようにすることが喫緊の課題である。
実施団体がカムアン県保健局に上記の現状を報告したところ、昨今の財政難を背景に、遠隔地域の保健センターにおける資機材の対応や職員の研修などが十分に行えていないと返答があった。さらに、カムアン県だけでなく、乳幼児の栄養不良はラオス全体で重点課題であることから、@遠隔地域の保健センターにおける「身長計」「体重計」の配備、Aそれらの利用に関する職員への技術研修、についてカムアン県保健局より協力要請を受けた。
本事業では、両郡の9保健センター(職員計50名)を対象に、センター職員が子どもの栄養状態を適切にアセスメントし、正しい保健指導・治療を実施できるようになることを目的とし、適切な「身長計」および「体重計」を整備し、それらの活用について職員に対して研修を実施する。これにより、発達阻害・消耗症の子どもに適切に介入できることが期待され、同地域の5歳未満児約2,195名が間接的に受益する。
事業内容
1. 対象となる9保健センターに「身長計」と「体重計」を配備
2. 保健センター職員を対象とした研修の実施([1]身長計・体重計の使用・管理、[2]結果の読み取りと栄養状態評価、[3]住民への栄養指導)
3. 3か月後・6か月後のフォローアップ(センター訪問による使用状況の確認、職員向けテスト)