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ジュマの紛争被害児童/生徒教育支援・キャリア支援

ジュマ・ネット

対象地域

バングラデシュ:チッタゴン管区ランガマティ県ランガパニ村

背景

バングラデシュは、ベンガル人(インド・アーリア系)イスラム教徒が大多数を占める国だが、事業対象地のチッタゴン丘陵地帯には「ジュマ」と呼ばれる11のモンゴロイド系少数民族が集住している。ジュマとバングラデシュ政府の間では、1973年から約20年間紛争が続いた。1997年に和平協定が結ばれたものの、和平協定の内容の不履行や、軍の駐屯がその他地域と比べて集中していることなどから、少数民族が抑圧される状況が生まれている。さらに近年では、ジュマの政治グループの分派および内部抗争が深刻化している。内部抗争によってジュマ社会全体の弱体化が進むと同時に、当地での平和へのはたらきかけも困難を極めている。

そこで実施団体は、2023年度に今井基金の助成を受けて、紛争被害児童・生徒に対する教育支援を実施。2025年1月現在、13人の児童・生徒に教育支援を実施するとともに、キャリア・ライフスキル教育活動の新たなアプローチを模索している。2024年度は児童・生徒のメンタルヘルス状況の調査や、バングラデシュに拠点を置く企業や送り出し団体など、日本に関連するキャリアに関わる組織との関係構築を図ってきた。一方で、2024年7月には現地で大規模な学生デモと政変が生じ、半月程度インターネットが遮断され、その前後は学校も休校となり、全国統一試験も延期されることとなった。その後、市民を中心とした暫定政権が設立されたものの、依然としてチッタゴン丘陵地帯は不安定な状況にあり、政変後の9月にはベンガル人とジュマの間で暴動が起きた。

こうした状況を踏まえ、次の点の改善が必要とされている。
【1:オンライン化の推進】
農村部であるため停電や電波の不安定さなどのインフラ上の制約はあるが、ビデオ会議を通したキャリア教育の実施や児童・生徒とのコミュニケーションなどを手段として確保しておく必要に迫られている。2025年度は、就職を希望する生徒または元支援児童に対して、オンラインを通した講義の実施を検討する。

【2:キャリア支援の一層の強化】
2023年度から今井基金を活用してキャリア支援に取り組む中で、企業が英語能力と働く姿勢(時間厳守、実直さ等)を重視していることが判明している。また、カウンターパートとの協議の末、寄宿舎学校内で希望者をリスト化し、採用要件に合致する人材を推薦する委員会の設置に取り組んでいる。こうしたトライアルを通して、2025年度は最初の就職実績を生み出すことをめざす。これらの取り組みは、政変後の混乱に乗じて軍が反政府活動等への警戒を強める恐れがあり、平和促進への直接的なアプローチが難しい現在において、重要度を増している。


事業内容

1. 被害児童への奨学金支援(13名)
2. 企業ニーズの明確な把握と調整(10社ヒアリングによる企業の重視項目の特定)
3. 選定委員会の設置、候補生のリスト化・育成
4. 候補人材への伴走支援(日系企業で働く際に必要な基礎知識についてのオンライン講義、日本で就労するジュマの若者からの助言等)