ミャンマー国立リハビリテーション病院に対する障害児用中古車椅子供与による福祉の向上と自立支援事業
対象地域
ミャンマー:ヤンゴン市内
背景
ミャンマー(人口5,300万人)は1948年に独立したが、政府の財政事情は非常に厳しく、教育・福祉サービスは不十分だ。人口の2.32%が障がい者であり、うち25%が16歳以下の子どもで、出産時の異常で脳性麻ひとなり障がいが残るケースが最も多い(ミャンマー保健省)。病院はヤンゴン等の都市部だけにしかなく、農村部では治療も受けられない。その上、障がい児用の車椅子がないため、家のなかでは日常的に床に置き去りにされるか、ベッドに寝たきりで生活していることがほとんどで、通学や通院もできない。そのため障がい児を介護する保護者への負担が大きい。
しかし、障がい児の実態は十分に把握されておらず、ミャンマーの関係者の間でも子ども用車椅子についての情報やその必要性への理解がなかった。実施団体は、議論の末“試験的な取り組み”として2012年に40台を国立リハビリテーション病院に寄贈。その結果、障がい児用車椅子についての関係者の理解が深まり、ヤンゴン子ども病院からも寄贈の要望が寄せられ、日本大使館員からも協力を受けた。以来、3回に渡り合計315台の車椅子を国立リハビリテーション病院とヤンゴン子ども病院(いずれも保健省傘下)に寄贈した。他の寄贈国に比べた際の特徴・利点は、障がい児に直接接する病院に寄贈されることだ。配布前はどの車椅子がどの子どもに適しているか、配布後には頻繁に子ども達に接する担当者が活用状況を専門家の眼で細かく確認できる。ミャンマーでは、障がい児用車椅子は貴重品であり、病院でも入手することが困難だ。車椅子を手に入れることで自由に動きまわることができるようになり、戸外で日光浴や新鮮な空気にふれ、通院や通学が出来るようになるほか、家族の介護の負担が軽減される。
2020年度は、国立リハビリテーション病院(これまでに195台寄贈)からの要望に応え、同病院に対し新たに90台を寄贈(重度の障がい児に優先提供)する計画だった。しかし、(1)コロナ禍による収集台数の減少などにより他国で実施予定だった活動の中止を決定したこと、(2)ミャンマーから台数の増加について要請があったことから、ミャンマー国内の4病院に対し、寄贈台数を180台に増やして活動を行うこととした。
目的
1.障がい児の自立
2.家族や周囲の人々の負担軽減
3.障がい児と地域の人々との交流の実現
4.日本国内で有料処分される車椅子の有効活用
事業内容
1. 車椅子の収集調達
2. 車椅子の洗浄
3.車椅子の輸送
4.車椅子の引き渡し