インド西ベンガル州ストリートで暮らす子どもたちの安全保障とエンパワーメントによる社会復帰支援プロジェクト
対象地域
インド:西ベンガル州ジャルパイグリ郡シリグリ市
背景
事業対象地域は、インド、ネパール、バングラデシュ、ブータンの国境地帯に位置する鉄道交通の要所であり、その主要駅(New Jalpaiguri=NJP駅)周辺には、約900人(2016年)のストリートチルドレンとその家族が生活している。多くの男児はゴミの回収・販売で生計を立て、女児は親と共に物乞いをして生活している。そのため、男児は薬物や大人からの暴力、女児は人身売買のリスクが高まっている。
実施団体のカウンターパートは、2003年から子どもの保護と社会復帰のための事業を展開し、男子児童シェルターの運営等を行ってきた(資金難により現在閉鎖中)。2015年3月からは、女子児童シェルターを設置し、支援を開始(現在は年間運営予算約130万円のうち半額を実施団体が負担、スタッフ4人)。
過去2年間の活動と2回のモニタリングを経て、対象児童の保護強化とエンパワーメントに関する教育プログラムの拡充、男子児童の社会復帰促進のニーズが確認され、本事業の立案に至った。本事業では、NJP駅周辺に滞在・生活する女子児童110人(うち定住者は2割、2-15歳)と近隣の保護施設で支援を受けている男子児童10人を対象とする。
目的
NJP駅周辺で生活する子どもたち(特に支援が不足している女子児童)の、
1.人身取引、薬物、暴力に関するリスクを回避し、その「安全」を保障する
2.個々の能力を強化し(エンパワーメント)、生存・生活における選択肢を増やすことにより「尊厳のある生活」を実現、維持する
上記目的を達成するために、@緊急的な児童保護システム(セーフティネット)の確立と強化、Aライフスキル教育、職業技術教育を含む代替教育(Alternative Education)の提供、Bストリートへの復帰防止をそれぞれ目指す。
これにより、対象児童が、日々の様々なリスクを回避・対処し、安全と尊厳のある生活の実現を可能とする状態がもたらされる。また、当事業による支援を受けた子どもたちが、再びストリートに戻り、その生存や尊厳のある生活が脅かされることを防止する。
事業内容
1.緊急的な児童保護システム(セーフティネット)の確立と強化(対象:女児)
現地スタッフによる駅周辺の巡回と児童への働きかけ、一度でもシェルターを訪れた児童の追跡・記録・報告システムの確立(タブレットを活用)、児童へのカウンセリング、専門施設への移送・シェルターへの定着を通じて、人身売買・薬物・暴力のリスクを回避する。
2.ライフスキル教育、職業技術教育を含む代替教育の提供(対象:女児・男児)
ライフスキル教育、リテラシー(識字・計算)教育、英語・情操教育、職業技術教育を提供する。