カンボジア・シェムリアップ州農村部におけるメンタルヘルスリテラシーの向上と適切な精神医療の提供の拡充
対象地域
カンボジア:シェムリアップ州アンコールチュム保健区
背景
カンボジアでは、メンタルヘルスの入院病棟が国に1つしかなく、人材・資源とともに不足し、整備の遅れが著しい。実施団体は、2002年にシェムリアップ州立病院内に精神科リハビリテーションセンターを設立し、2010年には今まで精神科外来がなかったアンコールチュム保健区で、2013年には精神科外来が中断されていたクララーン保健区で、月2 回の出張外来を行っている。
いずれも活動開始前より、各ヘルスセンター(病院の下部医療機関。看護師、助産師のみで医師はいない)と連携し、各村からボランティア2人ずつ、患者の親、僧侶、伝統治療師、伝統助産師、村長との会合(キーパーソンミーティング)を開き、地域のメンタルヘルスリテラシー向上に努めてきた。のべ利用者数の2013年度実績は、州立病院内のリハビリテーションが1,324 人、アンコールチュムが1,175人、クララーン(6ヶ月の実績)が484人である。また家庭訪問を実施し、通院患者の生活状況の確認とフォロー、治療中断患者や新規事例へのアプローチを行っている。
本事業では、アンコールチュム保健区内のキーパーソンミーティングが行われていない地区を対象に活動を行う。
目的
精神疾患の治療をプライマリヘルスケアの中において行い、またその家族を支えることで、疾患の早期発見や予防等精神保健の向上を図る。そして、開発途上国におけるメンタルヘルスケアのモデルを構築することで、他の多くの開発途上国における精神医療の向上に寄与したい。
事業内容
1.キーパーソンミーティング(計9回、175人参加)
2.外来における心理教育プログラム(うつ病とアルコール依存症の患者とその家族、累計90人)
3.患者の情報収集と家庭訪問(累計96人)
4.メンタルヘルスリテラシー向上についての評価(「統合失調症」に対する知識・意識調査を実施)