カンボジア・国立コサマック病院での看護実習生に対する練習用マネキンを使用した看護手技向上プロジェクト
対象地域
カンボジア:プノンペン市国立コサマック病院
背景
カンボジアでは、1970年から続いた内戦によって多くの人材や書籍を失い、いまだ医療体制や医療教育システムの整備が不十分な状態にある。特に国公立の医療施設は、支払い能力のない患者の受け入れや医療系学生の実習先となっているにもかかわらず職員が不足し、更にその給与額も低いことから病院職員のほとんどの人が副業しないと生活ができない状況となっている。
実施団体の活動拠点である国立コサマック病院はプノンペン市内にある国立病院の一つで、年間約1万人の外来患者が訪れ、約7,000人の入院患者を受け入れており、その多くが交通事故や転落といった整形外科や脳神経外科疾患の患者となっている。施設の老朽化が進んでおり、財政的な問題から職員数や設備・機器の不足が著しいが、毎年多くの医療系学生が訪れ病院実習を行っている。
カンボジアの国立病院では看護師の絶対的不足から、「実習」と称し患者への医療処置を実習中の学生が直接行う事が多い。しかし、座学で学んだだけの知識で行う医療行為は危険が伴い、看護実習生、患者共に不安を訴える声も多い。
そこで実施団体は、看護実習生に対して適切な看護処置の指導を行い、看護技術力の向上を図る。さらに現職看護師と共に看護実習生への指導を行っていく事で、同病院の看護実習生指導方法の確立に努める。
目的
- 看護学生の知識、意欲の向上
- 実践により近い実技演習を行うことでの看護学生の看護技術・手技の向上
- 患者への負担の少ない安全な医療の提供
- 国立コサマック病院看護師の指導、マネージメント能力の向上
- 国立コサマック病院脳神経外科病棟での看護実習生に対する教育体制の確立
- 脳外科病棟の教育体制充実から他病棟への拡散。病院全体の活性化に繋げる
事業内容
実習中に看護実習生が直接患者に行う下記の看護行為について指導を行った(対象者数:計209人)。
1.傷の処置方法(講義、実技演習:練習用マネキンを使用した創処置)
2.採血、点滴、注射方法(講義、実技:採血・注射練習用マネキンを使用)
3.尿道カテーテル挿入、留置、管理方法(講義、実技:尿道カテーテル練習用マネキンを使用)