台風30号(フィリピン名:ヨランダ)被災者支援事業
農地改革・農村開発センター(Center for Agrarian Reform and Rural Development (CARRD))
対象地域
フィリピン:イロイロ州、カピス州(パナイ島)
背景
台風30号(フィリピン名:ヨランダ、アジア名:ハイエン)は、2013年11月8日にサマール島東部のギウアンに上陸し、その後中部ビサヤ地域を中心にフィリピンを横断し、暴風雨による洪水、鉄砲水などが発生、多大な被害を広範囲にもたらした。この台風30号は、史上最大級の台風となり、平成24年(2012年)に死者1,067人をもたらした台風24号(パブロ)を超える“スーパー台風”となった。
「フィリピン国家災害リスク災害管理委員会(NDRRMC)」(2014年3月6日発表)によると、この台風での死者は6,245人、負傷者2万8,626人、行方不明者1,039人となり、被災者は1,607万8,181人(342万4,593世帯)にのぼった。114万332軒の家屋が全壊または一部損壊し(全壊:55万928軒、一部損壊:58万9,404軒)、409万5,280人(89万895世帯)が避難生活を余儀なくされている。被災地域はレイテ島、サマール島、セブ島北部、ネグロス島北部、パナイ島、ミンドロ島、ミンダナオ島北部など全81州の半数以上の44州648都市(市とミュニシパリティ*)に及んだ。
*ミュニシパリティ(自治区):「州(province)」と「バランガイ(barangay:最小の行政単位)」の間のフィリピンの行政単位。市と同レベルであるが、市より歳入規模などが小さい。
目的
台風30号の被災者支援
実施した活動
台風30号で被災したパナイ島のイロイロ州とカピス州の農家594世帯に対し、食料と薬品を配給した。
1)対象地域
実施団体CARRDが過去に事業(農地改革、持続的な農業等)を実施した地域の中で、特に台風による被害が深刻な地域を優先し、以下の2州、5市/ミュニシパリティの計15バランガイ**を対象地域として選定した。
なお、他団体からの支援を合わせて、CARRD全体としては、2州、6市/ミュニシパリティ、27バランガイで緊急救援物資の配布活動を行った。
イロイロ州(総被災者数:965,872人***) | |
パッシ市 | 市全体(37バランガイ)で61,884人が被災。 6バランガイ(Jaguimitan、Alimono、Magdungao、Salngan、Tagubong、Agtabo)で配布活動を実施。 |
サン・エンリケ・ミュニシパリティ | ミュニシパリティ全体(28バランガイ)で27,295人が被災。 1バランガイ(Dacal)で配布活動を実施。 |
カリノグ・ミュニシパリティ | ミュニシパリティ全体(57バランガイ)で58,740人が被災。 2バランガイ(Balaticon、Nalbugan)で配布活動を実施。 |
カピス州(総被災者数:690,270人) | |
マーヨン・ミュニシパリティ | ミュニシパリティ全体(32バランガイ)で37,478人が被災。 3バランガイ(Balighot、Indayagan、Quinat-uyan)で配布活動を実施。 |
ピラー・ミュニシパリティ | ミュニシパリティ全体(24バランガイ)で37,933人が被災。 3バランガイ(San Silvestre、Yating、Tabunacan)で配布活動を実施。 |
**バランガイ(barangay):フィリピンの最小の行政単位。
***地域ごとの被災者数は、「フィリピン国家災害リスク災害管理委員会(NDRRMC)」が2013年12月6日に発表した資料による
2)活動内容
協力関係にある地域の住民組織(People’s Organization。KASAPPI ARBMPCとPROARBMPC)と共に、最も支援を必要としている世帯を特定し、農家594世帯に、食料・薬品のキット(下記)を配布した。配布用の物資はCARRDの事務所があるイロイロ州パッシ市にて購入し、CARRDスタッフ、地域の民衆組織、ボランティアらが協力して、配布のための物資の詰め替えを行った。
なお、CARRD全体としては、2,074世帯に対して配布活動を行った。
<食料・薬品セット(1世帯分、350ペソ)> | ||
No. | 内容 | 数量 |
食料 | ||
1 | コメ | 3 キログラム |
2 | コンビーフ缶 | 2 缶 |
3 | ミート・ローフ缶 | 2 缶 |
4 | ツナ缶 | 2 缶 |
5 | コーヒー | 1パック |
6 | チョコレート飲料 | 6パック |
7 | 砂糖 | 1 キログラム |
薬品 | ||
8 | 鎮痛剤 | 5 錠 |
9 | 下痢止めの薬 | 5 錠 |