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特定非営利活動法人 ビラーンの医療と自立を支える会

対象地域

フィリピン: スルタン・クダラット州バグンバヤン町バランガイ・カヌライ、ラワン村

背景

 フィリピン・ミンダナオ島のダグマ山系に位置する本事業対象地ラワン村には、先住民族・マノボ民族が暮らしている。
 実施団体は、2009年から同地域で、森の再生と収入源確保のために、ゴムノキ栽培をはじめとした在来種樹木作物の栽培と自給・換金作物の栽培を組み合わせた「アグロフォレストリー」の支援を行ってきた。この支援事業は2012年9月に成功裏に終わり、数年後にはゴム樹液の販売収入が得られ、自立した山村のモデルケースになると期待されている。しかし、事業地の訪問を重ねる中で、不衛生な水に起因する胃腸疾患が異常に多いことが、村長、保育所教師、バランガイ・ヘルスワーカーの話から判明した。特に乳幼児は、重症の下痢や脱水症状を引き起こし、病院がある州都イスランまでは、徒歩、馬、乗合バイクを使って約3時間かかることもあり、手遅れになるケースが年に1〜2例あるという。こうした水問題は、自立した村作りに大きな影を落としている。
 森や泉の消滅は、1960年代からの乱伐、入植者増加、焼き畑拡大などによるもので、地域住民は何度もバランガイ政府に対し、残された山頂付近の泉を利用した簡易水道の敷設を要請してきた。数年前にようやく中古のパイプを使用して水は集落まで届いたが、水源保護工事が行われず、パイプも損傷が激しかったため、漏水により、村まで十分水が届かなくなり、代替水源として、麓の小さな湧水井戸に依存しなければならなくなった。しかし井戸は雨期に泥水が混入し、山を上り下りする水汲み労働は母親たちの負担を増やした。このため、本事業では、水道を敷設することにより、飲用に適した安全な水を確保し、健康改善や生活の質の向上をめざす。

*バランガイ(barangay):フィリピンの最小の行政単位

目的

1. 飲用できる安全な水を確保し、乳幼児の疾病罹患率、死亡率を削減し、大人の健康を改善する
2. 大人の健康改善によって家族の世話や生産活動の効率を向上させ、将来の経済的自立につなげる
3. 生活用水の通年確保によって、手洗いや歯磨き等の衛生習慣の定着やトイレの普及を可能にし、
   胃腸障がい以外の疾病罹患率の削減、生活の質向上を実現する
4. 灌がい用水の確保によって、家庭菜園や畑の多角的利用による収入向上、栄養改善をめざす
5. 水問題解決で、ラワン村の森林農業事業を成功させ、周辺住民に持続可能な収入向上の事例
   を示す

実施した活動

1. 簡易水道の建設(7か所、利用者:62世帯・約250人)

2. 指導者研修の実施(30人参加)
   水道の意義の確認、住民たちが維持管理に責任をもつための組織化などを目的に、指導者研修を行った。

3. 保健衛生研修の実施(35人参加)
   家庭菜園による栄養改善、健康増進のための基礎知識、簡易水洗型トイレ普及などについて、衛生研修を行った。

4. 水道維持管理研修の実施(30人参加)
   住民自身が軽微な補修を行えるようにする技術研修と、水道料金徴収などの管理・運営研修を行った。