地雷原エリアの小学校・中学校における、地雷・不発弾回避と障害者人権の理解を目的とした教育活動
対象地域
カンボジア: バッタンバン州、バンテアイミエンチャイ州、オッダーミエンチャイ州、パイリン州
背景
カンボジアは、1970年代から続いた内戦により約600万個の地雷・不発弾が埋設されており、戦争が終わった今でも、3日に1人のペースで被害が出ている。特に子ども被害者の約80%が、不発弾による被害で、地雷・不発弾の危険性を学ぶ機会がなく、興味本位で触ったり遊んだりしているうちに爆発するケースが多い。これまで地雷・不発弾危険回避教育(MRE)は地雷撤去を行う団体のMRE部門が担ってきたが、世界不況の影響でこれら地雷撤去団体への海外からの支援が減っており、どの団体もMRE活動をストップしなければならない状況になっている。
また、地雷・不発弾被害者などの障がい者に対する福祉意識が依然として低く、手足がないことで差別を受け、心の内で苦しんでいる被害者は多い。学校教師にも福祉意識が低く、また日本のように道徳や総合学習の時間もないため、学校で人権教育の機会がないのが現状である。
実施団体は、2004年に現地事務所を開設し、地雷原がある村での学校建設、農業支援、地雷・不発弾被害者のためのラジオ番組の制作・放送などを行ってきた。2011年度には、当基金の支援を受けて、ラジオ番組を通じた地雷・不発弾被害者の心のケア、治療や就職に役立つ情報提供、新たな被害を防ぐための注意喚起に取り組んだ。
2013年度は、小学生・中学生を対象に、直接指導による不発弾危険回避教育を実施し、不発弾被害を減少させ、事故を未然に防ぐ。また、ラジオ番組の制作等で得た被害者からの詩や手紙を冊子にまとめ、人権教材として活用し、小中学生への障がい者人権教育を促進する。
目的
1. 地雷・不発弾の危険性を啓蒙し、特に子どもの新たな地雷・不発弾被害を減少させること
2. 地雷・不発弾被害者をはじめとする障がい者が抱えている苦労や悩みを、子どもたちに
理解してもらい、障がい者に対する差別・偏見をなくすこと
実施した活動
1. 地雷撤去団体が行う地雷・不発弾危険回避教育についての研修参加
2. 対象校の選定・打合せと地雷・不発弾危険回避教育の企画
3. 地雷・不発弾危険回避教育、障がい者人権教育用冊子の作成(500部)
教育用冊子を作成・印刷し、2014年2月以降配布を行った。
4. 地雷・危険回避教育、障がい者人権教育の実施
学校に通っていない子どもを対象とした地域での教育活動を28村662名に対して行った
ほか、3州の小学校27校(計1,979人)、中学校8校(計892人)で教育活動を実施した。