ションダニ・スクールの読書環境の整備
対象地域
バングラデシュ人民共和国:メヘルプール県ガンニ郡ガンニ市
背景
対象地域はバングラデシュの首都ダッカより約300キロメートル西方に位置し、教育や産業の面で非常に遅れている地域である。ガンニ郡のほとんどの人が農業を営んでおり、稲作、ジュート(麻)、タバコ、野菜などを主に栽培しているが、約半数の家庭は土地を持たない貧しい農民である。成人の半数は教育を受けておらず、読み書きができないため、子どもの教育に対する意識も低い。
実施団体では、ガンニ市において1999年に小学校を、2003年に中学校、2006年に高等学校を開設し(ションダ二・スクール(私立学校、小・中・高等学校の生徒数約千名
教職員数30名))、わずか10年で、地域から高い評価を受けるまでになった。しかし、建設時から資金面で苦しく、教室建設を優先したため、トイレ建設は先送りとなっていた。現在は、校舎から離れたところにある3つの仮設トイレを利用しているが、雨の日には不便であるうえ、男女共用であるためプライバシーがなく、トイレを我慢する生徒が少なくない。とくに思春期の女子生徒には深刻な問題で、膀胱炎を患う女子生徒も多い。そこで、本事業ではションダニ・スクール中・高等学校にトイレを建設することによって、安心してトイレを利用できる環境を整える。
目的
@ ションダニ・スクールの中・高校生(第9学年から第12学年まで)が天候に左右されず
安心してトイレを使えるようになる。
A 男女別のトイレを設置することで、思春期の生徒でも異性の目を気にしてトイレを
我慢したりすることがなくなり、精神的・身体的苦痛を取り除く。
B トイレや洗面所の設置とともに衛生指導を行い、正しい使い方や重要性を知り、
手洗いや歯磨きの習慣を身につけさせる。
C 衛生教育に関し概して意識の低いバングラデシュにおいて、意識の向上につなげる。
実施した活動
@ 現校舎の西側の壁に接して3階建ての鉄筋コンクリートのトイレの建設
- 男子トイレ(1階・3階):
便器8据(すえ)、洗面台8台、ミラー8枚、清掃道具入れ倉庫
- 女子トイレ(2階) :
便器4据、洗面台4台、ミラー4枚、清掃道具入れ倉庫
A トイレの水を汲み上げるための自家発電機1台と水タンク1個の購入
(公共水道設備がないため)
B トイレ使用後の手洗いなどの保健の教員を雇用し、衛生指導を実施
成果
校舎から離れたところにあった男女共用の仮設トイレ(3基)から、校舎に接した新しいトイレ(男子8基、女子4基)に変わったことで、次の成果があった。
・生徒・教師が天候に左右されずトイレを利用できるようになった。
・女子と男子の階を分けたことで、女子は男子の目を気にせずトイレを利用できるようになった。
・洗面所の設置により、昼食後の歯磨き指導を行えるようになった。