台風21号(フィリピン名:センドン)被災者支援のための緊急物資配布事業
バライ・ミンダナオ財団(Balay Mindanaw Foundation, Inc)
対象地域
フィリピン共和国:ミンダナオ島ミサミス・オリエンタル州カガヤン・デ・オロ市の5地域
(ブルア、イノパン、カニトアン、ボンボン、カウスワガン・バランガイ)
背景
2011年12月16日午後4時、台風21号(フィリピン名:センドン、アジア名:ワシ)がミンダナオ島北東部に上陸した。台風はミンダナオ島を横断し、鉄砲水、土砂崩れ、洪水が発生し、多数の死傷者や避難民を出した。「フィリピン国家災害リスク災害管理委員会」の最終報告(2012年2月10日)によると、死者数1,268人、行方不明者数181人、総被災者数69万8,882人(13万1,618世帯)、被災家屋5万1,144軒(半壊・全壊含む)で、被災地域はミンダナオ島の5州とネグロス島やセブ島、ボホール島の計60都市におよんだ。とくにイリガン市では約9万人、カガヤン・デ・オロ市では約23万人が被災し、大きな被害を受けた。台風は深夜にミンダナオ島を横断ししたため、避難せずに自宅で寝ていた人が台風に襲われ、逃げ遅れて犠牲者が増えたとみられる。
カガヤン・デ・オロ市の中心部や避難所では政府(主に社会福祉開発省)が食料配布を行ったが、市郊外に住む人や避難所で生活をしていない人はその恩恵を受けられなかった。このため、これらの政府による支援から取り残された人々を対象に支援活動を実施した。
目的
台風21号(フィリピン名:センドン)の被災者支援
実施した活動
実施団体には、今井基金をはじめとした国内外からの支援金、物資が寄せられ、ボランティアが集まった。これらの支援によって、緊急救援物資の提供だけでなく、保健医療サービスや心のケア活動、再定住地の確保と仮設テントの提供活動を実施した。2012年1月17日現在の活動内容は以下の通りである。
1. 物資の配布と保健サービスの提供
(1)物資の配布
@食料セット:895世帯(4,475人) ※うち350世帯は当基金の助成金による
内容)米5キログラム、ゆで卵6個、缶詰6個、飲料水3リットル等
A衛生セット:570世帯(2,850人) ※うち350世帯は当基金の助成金による
内容)歯ブラシ5個、歯磨き粉2袋(袋詰めのもの)、石鹸2個、サンダル5足、
男性用下着4枚、女性用下着6枚、生理用品等
B学用品セット:2,046人の子ども、学生
内容)鞄、制服、ノート5冊、ペン1本、鉛筆2本、消しゴムと鉛筆削り等
(2)専門家(ボランティア)による支援活動
専門家による支援を5地域の3,243世帯(16,215人)に提供した。また、サランガニ州と
ジェネラル・サントス州の医療ボランティアチームが医療サービスを行った。
2. 再定住地および住居の確保の支援活動
避難民が学校等で生活しており、再定住地や住居の確保が必要であることにいち早く気づき、他のNGOや行政機関と協力して、避難者へのブルーシートのテント(仮設住居)の提供と、「テント・コミュニティ」作りに取り組んだ。3ヶ所のテント・コミュニティができ、テントは計147世帯に提供された。実施団体では、それぞれのコミュニティの組織化を図るとともに、他のNGOと協力して衛生施設(トイレ等)を設置した。
3. 心のケア活動
実施団体では、以下を目的に、心のケア活動にも従事した。
@人と人の関係性や家族の連帯の促進とコミュニティの回復力を強めること
A被災者が話すことができる場所を提供すること
B被災者が落ち着きを感じ、自信を取り戻し、生産的で責任を持った地域社会の一員となること
アテネオ・デ・ダバオ大学(所在地:ダバオ市)やフィリピン大学の心理学部の学生や心理学者、子どもの心理に詳しいNGOと連携して、NGO関係者やボランティアを対象とした研修を開催するとともに、被災者を対象としたワークショップを実施した。