バングラデシュ・シラジガンジ地域農村部における医療事業
対象地域
バングラデシュ国:シラジガンジ県ライガンジ郡グルカ村
背景
バングラデシュは南東部のチッタゴン丘陵を除く国土のほとんどが、ガンジス川やジョムナ川など世界有数の大きな河川の下流地域に位置し、毎年雨季には河川が氾濫し、国土の70%が浸水するなど深刻な洪水被害が発生している。実施団体では、北部のシラジガンジ県において、1996年から洪水被災者緊急支援をはじめ、農業技術支援など地域総合開発事業を展開してきた。とくに医療分野は重要かつ緊急性を要する分野であり、シラジガンジ県では5歳未満の乳幼児死亡率が6%(日本は0.4%-UNICEF2007)と、早急に改善を必要としている。
事業対象地であるグルカ村において、よく見られる疾患としては、子どもの栄養不良、胃腸障害、呼吸器系疾患、皮膚炎、風邪、高齢者は高血圧や糖尿病などである。最も近くの入院設備のある病院は12キロメートル先であり、グッドネーバーズ・バングラデシュの運営する「シラジガンジ医療センター」が地域住民にとって唯一の医療機関となっているが、2名の非常勤医師と1名の看護師しかおらず、ともに週3回、各3時間の勤務体制である。資金難から必要な薬も不足しがちである。本事業を通じて、医師・看護師、医薬品の不足を解消して、地域住民がいつでも利用できる医療サービスを供給し、保健衛生・健康診断の重要性の理解を促す。
目的
@ 医師・看護師の不足を解消し、地域住民にいつでも利用できる医療サービスを供給する。
A 医薬品の不足を解消し、地域住民に必要な医薬品をいつでも供与出来る体制を作る。
B 医療器具の不足を解消し、地域住民に必要な検査・治療をいつでも提供できる体制を
作る。
C 保健衛生・健康診断の重要性を、より多くの地域住民に理解してもらう。
実施結果
@ 常勤の医師と看護師を1名ずつ採用し、グッドネーバーズ・バングラデシュ・シラジガンジ
医療センターにて週6日地域住民に医療サービスを提供した。医療センターが毎日稼働
していることが地域住民に知られるにつれて、訪れる患者が増加し、月平均400名程度
の患者が診療に訪れている。
A 治療に必要な薬を十分用意することができた。
B 診断・治療に必要な器具を十分用意することができた。
C 2011年3月に日本から職員を派遣し、モニタリングを実施した。
*当初予定していた公衆衛生・保健・健診についての地域住民啓蒙活動(月に1回程度)は、
9月・10月に発生した洪水の被害者支援の影響で、2011年度に延期することとなった。