山岳民族の子どもたちへの識字教育プロジェクト(継続3年目)
対象地域
インド共和国:オリッサ州ムニグダ・ラヤガダ地区
背景
インド・オリッサ州山岳部の住民は、母語であるクイ語(無文字)のみを話し、経済的に極めて困難な状況にある。最近は、生活を維持するために、山を下り、ターメリック等の農産物や森で採取したものを週に一度市場に売りに行き、米や照明用の油を購入するようになってきた。その際、市場で、オリッサ州で一般に話されているオリヤ語が分からなかったり、計算ができなかったりするため、安く買い叩かれたり、高く買わされたりして、困難に直面している。
対象地域の村は、地理的に困難な状況にあるため、州政府から教員が派遣されることはなく、地域で代理教員を養成することが求められている。実施団体では過去7年間、識字プログラムを実施しており、本基金からの助成で行われた2008年、2009年度の活動では、68名の代理教員を養成し、対象地域の子どもたち(3〜15歳)の90%が識字教室に参加した。さらに、約500名いる子どものうち、2008年度の就学数は54名であったが、2009年度の就学数は111名と増え、教育への理解も深まった。しかし、公立学校への就学は全体の20%程度であり、さらなる促進が必要とされており、2010年度は、引き続き、代理教員の養成トレーニングを行い、住民の教育への理解を促し、公立学校に就学する活動に力を入れる。
目的
教育を受ける機会の少ないドンゴリア・コンド族の子どもに対し、地域で、生活に必要な識字、算数を学ぶ機会を提供し、さらに公立学校への就学を促進する。
実施結果
@ 代理教員養成トレーニングの実施(K村18名、P2村16名、のべ68名が参加)
A 村での識字教室の開催(34村、週3回、3歳から15歳まで計885名が参加)
B 村における会合の開催
スタッフや教師、代理教員候補生などが対象の34村を訪問し、村のリーダーや
母親グループなどとの会合を計350回開催した。これにより、地域全体で教育の
必要性への理解が進み、子どもたちの識字教育への参加や公立学校への就学の
増加につながった。
C 公立学校への就学の推進
195名(女子117名、男子78名)が公立の寄宿学校で教育を受けるようになった。
公立学校に就学する女子が増加した。