北タイ地域の農村開発と保健衛生普及活動
対象地域
タイ王国:北タイ地域(パヤオ県チェンカム郡ホイプム村)
背景
山間にあるホイプム村に住む山岳少数民族「モン族」は、伝統的農法で自給自足の生活を営んできたが、近年、現金収入が必要となり、流通農業を始めた。しかし、遺伝子組み換えトウモロコシへの移行に伴う森林の違法伐採と洪水被害などの問題を抱え、いまだ現金収入は低い。住民は、伝統の土地と文化を生かし、お金の掛からない、持続可能な農法で自立した農業を続けることを希望している。本事業では、複合栽培と農村開発を推進し、集落排水設備として生物多様性を駆使した「自然循環式多目的バイオトイレ」を設置して、保健衛生、生活環境学習を実施する。
タイ山岳民族の村落では、衛生環境も極めて悪く、便所は垂れ流しの集落が大半である。実施団体が進める「自然循環式多目的バイオトイレ」システムは、人の生活環境の中で無駄なく自然の作用を最大限に活用したシステムであり、電気・動力など人口のエネルギーを必要としない。設置も安価で、畑としての利用や、地下水の安全性・病原菌からの回避、燃料確保ができる。
目的
焼き畑の大地を緑豊かな農地とした生活の自立と持続可能で安定した豊かな生活の確立、および、循環型社会形成のモデルとして地域に波及する。
実施結果
@ 生活改善事業
1)「自然循環式多目的バイオトイレ」(1基:15〜16世帯対象)を設置した。
*実施団体では3年計画で事業を実施し、計3基作り、最終年度連結する。
2)住民を対象とした保健衛生と地域環境学習を3回、実施した。
A 農業方式転換とアグロフォーレストリー
・耕作地の測量を行った。全体の30%が終了。
・農業センターで、12種類の樹木と畑作物(野菜、薬草、香辛菜)の育成試験を行った。
・村民対象とした研修会を実施した。(2回、全世帯の95%が参加)
*実施団体では3〜5年間、継続して活動する。