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カンボジア農村部の小中学校幼稚園の環境教育支援

特定非営利活動法人Nature Center Risen

対象地域

カンボジア: タケオ州キリボン群

背景

カンボジアは1970年代のポル・ポト独裁政権時代の内戦の影響で周辺国に比べて経済発展が遅れてきたが、近年では国際的な支援を受けてインフラ整備が進み、急速な経済発展が起きている。都市部では人口の集中、交通量の増加や工場進出、農村部では農薬や化学肥料の大量・誤使用、市民生活には食品添加物の濫用などが発生し、大気・水質・土壌汚染などの環境悪化が始まっている。人々の環境意識は低く、工場からの違法な廃液による河川の汚染や、木材の売却のための森林の違法な皆伐など、一時的な収入を得るための開発によって森林・河川・水田などの自然資源が毀損し、農林水産業などの伝統的な生活基盤が失われている。つまり、「貧困」に加えて「環境に対する知識の欠如・関心の低さ」が、自然の再生能力・循環を活用した持続可能な開発の範囲を超えた「近視眼的で過剰な自然利用」の起因となり、伝統的・習慣的な生活様式の崩壊と貧困の固定化を生んでいるといえる。

これらの問題の解決には環境教育の普及が不可欠だ。しかし、カンボジアの教育には貧困による就学率の低さ、学校・教員の不足、教員養成のインフラ・技術不足など様々な課題があり、特に虐殺で知識層が失われた影響で教育人材が不足しているため、環境教育はほとんど行われてこなかった。そこで申請団体は、カンボジア教育・青少年・スポーツ省と協力し、カンボジアで初めて設立された4年制教員養成大学の環境教育授業を立ち上げるなど、全国の幼稚園小中学校に環境を教えられる教員を輩出する仕組みを整えてきた。さらに農村部の学校では、都市部と異なる「施設や教材の不足」、「管理職や地域住民の無理解」などの課題もあり、新任の教員が赴任するだけでは現場での環境教育が実施されない懸念があったため、同省と協議し、農村部の学校で環境教育を実践しながら、「農村部の学校で行う環境教育」のモデルを確立し、全国の農村部の学校に展開した。そのモデル校として南東部タケオ州のトルムーン小中学校幼稚園(在校生678人、教職員20人)を選定し、同校の教育・衛生環境の改善と、環境教育支援に取り組んできた。これまでに老朽化した校舎の改築や雨期にぬかるんで使えなくなる校庭の土のかさ上げ、日本人講師による実践的環境教育の授業、教員研修などを実施してきたが、申請事業では今後に向けて、衛生環境の改善や、更なる授業・教員研修の実施、教材の整備などに取り組む。

事業目的

  • 都市部に比べて新しい教育の導入に障壁の高い農村部の学校でも環境教育が行えるようにする。
  • 多くの子ども達が環境教育によって身近な自然に愛着を感じ、カンボジアと世界の自然と環境を守る生き方を選択できる人材が輩出され、将来のカンボジアの国造りに貢献する。
  • 学校が地域の環境意識向上の核となるような内容のモデルケースを構築し、カンボジア教育・青少年・スポーツ省によるプログラムの配布・推奨やエコスクール指定などの方法を通じて、都市部、農村部にかかわらず多くの小中学校で実践的な環境教育が行われるようになることを目指す。

事業内容

1. 日本人講師による授業実施(年2回×50人×4か所(幼稚園、小中学校)を対象)
2. 日本人講師による教員研修の実施
  (幼稚園・小中学校教員、管理職・職員を対象に、合同研修を年2回)
3. 落ち葉たい肥作り、畑、花壇などの環境整備
4. 絵本や観察機材などの環境教育教材の供与(1種あたり10〜20点)
5. 旧トイレ周辺の衛生環境整備