マダグイ子どもセンター教育支援事業
対象地域
ベトナム:ラムドン省ダホアイ県マダグイ市
背景
本事業の対象となる孤児院「マダグイ子どもセンター」(公的補助のない私立運営、入居者65人、職員約10人)は、ホーチミン市の寺院の住職が地域の要請を受ける形で2010年に設立したものである。このように、寺院の住職が慈善事業として設立・運営する孤児院がベトナムには多く存在する。当センターは、ホーチミン市から車で約4時間(200km)離れた郊外にある。設立当時はホーチミン市からダラット(ラムドン省の省都で、標高1,500mの位置にある避暑地)に向かう人の訪問を見込んでいたものの、立地が悪く期待された支援は集まらなかった。そのため、ハン住職が務めるホーチミン市の寺院から食料を分けてもらい何とかやりくりをしていた。その後、設立当初に保護された幼少の子どもたちが成長し、食費や学費がかさむようになり、運営状況が厳しくなった。
実施団体は30年に渡りベトナムで困窮状態の子どもや障がい児を支援してきた経験を持ち、当センターでは2012年より支援を開始した。2015年からは線香製作機械やビーズ(数珠)製作機械を支援することで、当センターの自立運営のための財源確保を進めるとともに、子どもの職業訓練にも活用してきた(コロナ以前は線香・ビーズ製作により多い月で8万円の収益があった)。孤児院で育つ子どもたちは一般的に目標意識が低く、成長してもよい仕事に就けず、結果的に貧困を再生産してしまう傾向にあるが、当センターの子どもたちには施設にいる間に向上心や協調性を学び、将来に向かって生きる力つけてもらえるようセンター運営を行ってきた。しかし、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、線香や数珠の需要がなくなり、わずかな訪問者も途絶え、寄付も激減し、子どもたちの健全な食生活が維持できなくなっている。そこで、本事業では、当センターの子どもたちへの教育支援と食料支援を行う。
事業内容
@教育環境の整備
・教科書・学用品等の支給(対象41人、9月の進学にあわせ教科書・制服・靴・鞄を支給)
・幼稚園の給食費の支給(6人分)
・健康保険料の負担(ベトナムでは学校に健康保険料を支払う必要があるため、41人分)
A学力向上支援(中高生13人が数学と英語の学習教室に週2回通学)
B栄養補給食の支援(月1回の肉・卵とお菓子の提供、センターに入居する65人を対象)