中学生を対象とした応急手当・家庭医学の教室「保健の青空教室」と定着・展開のための実践型教育プログラム開発
対象地域
ネパール:第五州 ダーン郡 ラジプール自治体
背景
ネパール南西部にあるラジプール自治体は、水道・電気等のインフラも未整備な典型的な僻地であり、医療面でも人々が簡単に医療にアクセスできる環境ではない。実施団体は、健康に関する基本的人権の確保をビジョンとして掲げ、2018年より地元の人達で自走可能な医療提供体制構築を実施してきた。一方で、人々の健康を実現するためには、提供側だけでなく医療を受ける住民側のヘルスリテラシー向上が不可欠であることがわかった。現地側パートナーと討議の結果、十分な健康教育を受けていない住民に向けて基本的なセルフケアの知識を提供する研修を行うこととなった。
2021年度は、当基金の助成を受け、初版の教育コンテンツ(現地のニーズに応え「外科的応急処置」を対象)の開発を実施した。当初計画では中学校3-4校で生徒・教員を対象にした研修の実施を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で2021年4-8月の間ロックダウンされていたため、対象校を規模の大きな学校1校に絞り、同校で4回開催する計画に変更した。2022年度は、2021年度の積み残した課題を改善し、より実践的で現地の将来の自立を見据えた事業として、自治体側の課題に合わせた教育コンテンツを拡充するとともに、単発の座学中心の講習から技術の定着のための仕掛けを施し、現地でも手に入る簡単な医療用資材を活用した実践や現地教員の能力向上にも取り組んでいる。
事業内容
@教育コンテンツ作成
昨年度作成した既存コンテンツの改善と、新規コンテンツ(4種:熱中症、窒息、やけど、犬に噛まれた時の対応)を作成。
Aアプリによる普及
動画とハンドブックをスマートフォンで容易に閲覧できるようにし、学校研修の対象中学生の親ら地域住民に普及
B事前研修会の実施(対象:Health Postスタッフ、Community Health Worker(CHW))
C学校での研修「保健の青空教室」実施(生徒・教員を対象)
8月に1校で実施。残り6校のうち、2月末までに2校実施。3月に4校で実施予定。
D研修対象校の拡大(生徒を対象に、現地のHealth Postスタッフ、CHW、教師が協力して実施)
現地担当者が実施できるようパッケージ化する。