インターネットカフェを活用した新たな教育の場の提供
対象地域
フィリピン:リサール州ロドリゲス・カシグラハン村
背景
フィリピンではコロナ対策のため学校授業が遠隔で実施されているが、インターネットにアクセスできない子どもたちが多数いることが国家課題となっている。本事業では実施団体の支援地域のインターネットカフェを子どもたちが学習できる場として開放することで、公教育から取り残された子どもたちに学習機会を提供する。
遠隔授業にはインターネットのアクセスが必要だが、事業地のカシグラハン村では多くの家庭にインターネット環境がない。カシグラハン村は2000年に立ち退き対象者のための再定住地として開発された地域で、マニラ都市部から立ち退きにあった人たちが移り住んでいる。移住者のほとんどはフィリピンの農村出身で、慢性的な貧困状態に苦しんでおり、月15,000円以下の収入しかない世帯が過半数を占めている。カシグラハン村の平均世帯人数は5.5人である(2020年10月実施のADBとの共同調査より)。この月収額はフィリピンの国民平均所得の3分の1である。
家庭でインターネットにアクセスできない子どもは、地域内にあるインターネットカフェを利用する必要があるが、利用料は1人あたりP50(約110円)で、カシグラハン住民の一般的な日給の20%を占める。また各家庭に就学年齢の子どもが平均2.7人いるため、単純計算で1家庭あたりP135(約270円)捻出する必要がある。本来であれば平日の5日間子どもたちはインターネットにアクセスしないといけないが、貧困層にとってはとても捻出できる額ではない。フィリピンの首都圏では行政からタブレット端末や通信費の補助が出る地域もあるが、カシグラハン村のような地方では補助は皆無である。そこで本事業では貧困層の中高生(71世帯、113人)のインターネットカフェの利用料を補助することで、子どもたちに遠隔授業へのアクセスを提供する。さらに、昨年7ヶ月間の学校閉鎖により授業を受けることができなかった遅れを取り戻すために、補助教材としてE-Learningも提供する。
目的
1.学校の遠隔授業に参加できていない子どもたちにインターネットへのアクセスを提供すること
2.2020年の学校閉鎖(7ヶ月間)の遅れを取り戻すためのE-Learning教材を提供すること
事業内容
@各家庭への周知と受益家庭のプロファイル作成
A子どもの学習の場となるインターネットカフェ4拠点の決定・契約締結
Bインターネットカフェ店員への、学習支援やE-Learning授業のノウハウ提供
Cインターネットカフェを利用した学習(1か所あたり、一度に5〜15名利用予定)