フィリピン・ミンダナオ島における共生のための教育支援事業(2年度)
対象地域
フィリピン共和国:ミンダナオ島ジェネラル・サントス市
背景
対象地域のミンダナオ島南部ジェネラル・サントス市は、産業が一部の資産家に占有され、約半数の世帯が経済的に困難な状況に置かれており、市内の多くの子どもは卒業まで学校に通うことができず、低学歴のために安定した職業に就くことも困難である。一方で、郊外の高地には先住民族ブラアンが住んでいるが、市内の人々は彼らに対し偏見を抱き、ブラアン民族は低地の人に対し不信感や劣等感を抱いている。イスラム教徒系住民とキリスト教徒系住民の不信感が拍車をかけ、この地を一層不安定な状態にしている。
実施団体では、2008年度、今井記念海外協力基金の助成(75万円)を受け、相互理解促進に向け、ジェネラル・サントス市周辺の背景の異なる子どもたちの連続ワークショップを実施した。参加した低地のキリスト教徒の子どもたちや先住民族ブラアン族の子どもたちは、直接お互いの経験に耳を傾け、痛みや喜びを共有し、違いを尊重し受け入れ合うことが共生のために大切であることを学んだ。
ミンダナオ情勢は2008年8月以降、一時60万人の避難民が出るなど、さらに不安定なものとなっている。子どもたちの小さな「声」に基づく相互理解を地域での着実な平和活動につなげ、共生の灯を促進することが求められている。
目的
- ミンダナオ島ジェネラル・サントス市の経済的貧困家庭の子ども達79人の通学を可能とする。
- ジェネラル・サントス市に住む子どもたち約6万人とその保護者、教師が、相互理解・尊重の重要性を理解し、地域の安定に寄与する。
事業内容
- ミンダナオ島ジェネラル・サントス市内に住む経済的貧困家庭の小学生22人、高校生49人、大学生3人に対して学校経費と学用品(文具、制服、靴等)を提供した。
- 上記子ども達に対し、医療費の提供、カウンセリングの実施。
- 上記子ども達の集会を2回(2009年7月と11月)、保護者総会を1回(2009年5月)に開催した。
- 町に住む奨学生10名と、当事業初年度(2008年度)に交流したブラアンの子どもたち5名が、初年度で実施した連続ワークショップのアウトプットを演劇にした。テーマは「ジェネラル・サントスの共生」。
- 演劇発表会を計4回、実施。小学生とその保護者、及び教師、計約670名が演劇を(特活)観照ボランティア協会した。
- 教育省、学校と連携し、演劇、及び演劇発表会後の子どもたちの感想を映像にて記録した教材をジェネラル・サントスの全公立小学校・高校(約35校)に配布、学校での活用を促した。