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カンボジア王国障がい者職業訓練センターの運営及び孤児養育(2000年度)
カンボジア王国障がい者職業訓練及び孤児養育(2001年度)
障がい者等職業訓練及び孤児養育のための職業訓練センターの管理・運営(2002年度)
トウマイ職業訓練センター訓練生の技術取得のための教材・工具及び実習費用ならびに卒業生への道・工具の支給支援(2004年度)

特定非営利活動法人 日本カンボジア交流協会
山田二三雄氏(理事長)/ 本間恵子氏(担当スタッフ)
  • - 内戦で深く傷ついたカンボジアは、今、どんな状況にありますか?

カンボジアでは、過去30年にわたる紛争で200万人以上の人々が虐殺され、1000万個にのぼる地雷で、さらに4万人以上の人々が犠牲となっています。 1991年の和平協定で内戦は終結しましたが、未だにカンボジア国内の政治は不安定で、経済も未発達です。医療や教育、福祉などの社会基盤の整備が十分ではありません。そのため、紛争による孤児、地雷やポリオによる障がい者への支援は、長年にわたって海外の政府援助やNGOに頼っている状況にあります。

  • - 日本カンボジア交流協会がカンボジアの障がい者や孤児を支援し始めたきっかけは何ですか?

1995年に、私(山田)が現カンボジア王国の商工省大臣チャム・プラシッド氏に出会ったのが全ての始まりです。彼からの要請を受けて支援を始めました。このと き、日本国内の福祉・教育・医療の各分野で活動している社会福祉法人が協力し合い結成された「めぐみグループ(現:有限責任中間法人 さきがけ)」の職員を母体として、日本カンボジア交流協会を発足させました。そしてトウマイ障がい者職業訓練センターを建設し、政府に寄贈し、1998年に開所しました。それ以来、当協会は、センターの運営は全てカンボジア人に任せながら、地雷による障がい者や医療の不足から多発しているポリオによる障が い者への職業訓練、基本的な教育を受けることができない戦争孤児をセンターで預かって学校に通わせるなどの活動の支援を行っています。

  • - 今井基金からはどのような支援を受けていますか?

今井基金の支援を受けている4つの事業は、全部、当協会の中心的な活動である「プノンペン・トウマイ職業訓練センター」の運営経費(障がい者・孤児両方)に関係するものです。2000年度の申請事業では、まだ訓練センターの設備が十分ではなかったことから、職業訓練用の機材などを購入しました。2001年度は、今後、訓練センターの維持経費を自分たちで賄っていくためにショップを開設し、職業訓練生によるテレビ・ラジオ修理、バイク修理、縫製作品の販売を試みました。そして、2002・2003年度は、「訓練を受けて技術を身につけても、道・工具を買うことができないので卒業後に技術を生かすことができな い」という声に応えて、卒業生への道・工具支給のための費用の助成を申請しました。

  • - どんな目標を掲げて支援事業を行っていますか?

トウマイ職業訓練センターの目標は、主に、障がい者や孤児が最終的に自分でお金を稼げるようになることです。彼らが自分で自分の生活が賄えるようになること、つまり自立できるようになることが一番の目標です。そのためには、モノやお金の援助だけでは駄目で、特に障がい者に関しては、職業訓練で技術を教えて手に職をつけさせることが大切です。それでも、いざ技術を身につけたところで、技術を生かす道・工具がなければ自分で稼ぐことはできません。ほとんどの訓練生には、そういった道・工具を買う余裕がないのです。したがって、技術を身につけさせた後に、 道・工具を支給するという、両面からの支援を実施しています。こういうことに使うお金は、やがて何百倍にもなって生きてきます。

  • - 事業実施中、困難な問題に直面したことはありましたか?

訓練センターを開所した当時は、運営面で試行錯誤しました。また、現地スタッフに必要なお金を渡すと、最初に全部使い切ってしまうなどの問題はありました。それには、決められた額を細かく分けて渡したりするなどして対処しています。センターの運営に関しては、私たちは常に、節約を心掛け、自分たちで将来賄えるようになるように努力するべきだということを現地スタッフに伝えています。もし仮に当協会が支援することができなくなったとしても、カンボジアのスタッフだけで自立してやっていけるようになって欲しいと思っているからです。

  • - 訓練センターの現地スタッフは積極的に活動していますか?

訓練センターの所長もスタッフも全員カンボジア人ですが、自分たちで責任持ってセンターの運営管理をやっているという意識が強く感じられます。彼らはセンターの運営などについてよく話し合っていますし、報告書も1ヵ月に2〜3回必ず送ってきます。特に所長は、省庁を訪問したりして政府とのコミュニケーショ ンをよく取っていますし、他の訓練センターとの連携もしています。また、地域に溶け込むセンターを目指しているので、センターだけでなく卒業生や地域との交流がさかんに行われていて、最近では、一般の人でも活用できるように図書館をセンター敷地内に作ったり、周辺地域の極貧層の人たちを対象に職業訓練も始めました。

  • - この事業によって、障害を持っている人たちの自立はかなり達成されてきましたか?

今まで障がいを持っているだけで差別されてきた人たちが、職業訓練を受けることによって技術を身につけ、自立することができています。訓練を受ける前までは、家族の中でも厄介者扱いされていましたが、今では逆に家族を養う立場へと変わり、それが彼らにとって何よりも大きな喜びとなっています。「自分は駄目だと思っていたけど、自分だけでもやっていけるんだ」という前向きな気持ちへと変わり、それが周囲の人たちへのよい励みとなっています。現在までに、卒業した訓練生は約300名弱ですが、彼らのほぼ100%が自立しています。これからも継続的に、トウマイ職業訓練センターでの孤児養育と障がい者への職業訓練の支援を実施していきますが、今後、訓練センターがもっと自立していけるような体制を現在模索中です。

  • - 支援を受けた人たちには、どのような変化がありましたか?

孤児でセンターに入所していた子どもが、高校に通うことができ、ここ1〜2年、高校で身につけた英語をセンターの訓練生などに非常勤で教えるなどの貢献を してくれています。また、訓練を受けた障がい者同士が、結婚して田舎に帰り、奥さんはミシンで縫製の仕事、旦那さんはバイク修理をして生計を立てて暮らしているという話を現地スタッフから聞いています。他には、ミシンの訓練を受けていた第3期生のキーブ・マラカさんが、卒業後にカンダール県タカオ郡で自立開業し、現在では月に約246ドルの収益を得られるようになったという報告もあります。

  • - どうもありがとうございました。